乳腺症
乳腺症とは
乳腺症は、中年期~更年期の女性にみられる乳房のしこりや痛みなど、乳癌によく似た症状が表れる病気です。
年齢と乳房の変化
乳房は、20代~30代の女性では、妊娠、授乳に備えて、そのほとんどが乳腺組織で占められています。ところが、授乳の必要がなくなった中年以後の女性では、乳腺組織が脂肪組織に少しずつ置き換わっていきます。
30代後半から40代の女性の乳房はその間の過渡期で、乳腺組織と脂肪組織が交じった状態にあります一般に、乳腺は年齢とともに次第に硬くなりますが、中年~更年期以後では脂肪組織の中に残った乳腺が“しこり”として感じることがよくあります。また、若い女性でも、女性ホルモンのバランスがくずれた場合に、乳腺が腫れ、痛みが出たりすることがあります。乳腺症は、このようないろいろな病態をひとまとめにしたもので、病理学的にはいくつかの種類に分類されています。欧米ではこの乳腺症という概念はなく、fibrocystic disease(線維嚢胞性疾患)と呼ばれています。
治療の必要性と治療方法
こうした変化は、女性の正常な生理的な体の変化であり、通常は治療の必要はありません。ただ、日常生活に支障があるようなひどい痛みが5~6カ月以上続くような乳腺症では治療が必要となることもあります。治療法は、女性ホルモンの働きを抑える薬を使用したり、女性ホルモンそのものを投与する場合もあります。その上に鎮痛薬などを2~3カ月使います。これらの薬物療法は根本的な治療法ではありません。また、副作用として太ったり、肝臓に障害を起こしたり、血栓ができやすくなったりします。漢方薬が有効な場合もあります。これらホルモンに影響する薬物は乳癌発癌への影響が否定できないため、当院では原則として行いません。
乳癌との関係と注意が必要なタイプ
乳腺症の中には、まれに癌に移行しやすいタイプ(乳管乳頭症、異型乳管過形成、異型小葉形成、閉塞性腺症、硬化性腺症など)もあり、また、乳癌との鑑別が困難な場合もあります。
当院での検査と診断
当院では、中年期以降で乳房のしこりや痛みを訴える場合、乳癌の可能性も考慮し、触診、マンモグラフィー(乳房のレントゲン撮影)、超音波などで検査をします。確実な診断が難しい場合には、針で細胞を吸引して、顕微鏡で調べ、癌でないことを確かめます(穿刺細胞診、吸引組織生検)。診断が難しい場合には、しこりの一部または全てを切り取って顕微鏡で調べる切除生検が必要なこともあります。
定期検査の重要性
以上のように乳腺症とはいろいろな病態をひとまとめにした概念です。またタイプによっては癌に移行しやすいものもありますので、当院では6ヶ月~1年毎の定期検査をすすめています。
