異型乳管過形成(ADH)、異型小葉過形成(ALH)
異型乳管過形成(ADH)・異型小葉過形成(ALH)ができる仕組み
正常乳腺細胞から癌化していく第1段階では、正常細胞の過剰な増殖を引き起こし、この状態を乳管過形成(usual ductal hyperplasia, UDH)と呼びます。そして、2段階目の過程で、過形成の細胞が変異をはじめ、正常でない異型細胞(atypical cells)に変化します。この変化の段階を異型乳管過形成(atypical ductal hyperplasia, ADH)と呼びます。「その形態が非浸潤癌に非常に似ており、非浸潤癌の病理診断基準の一部を満たすが、これを完全に満足していないもの」を異型過形成と定義しています。この場合も異型乳管過形成(atypical ductal hyperplasia: ADH)と異型小葉過形成(atypical lobular hyperplasia: ALH)の2種類があります。
異型乳管過形成(ADH)・異型小葉過形成(ALH)と乳がんの関係
両者とも、現在、病理学的には乳腺症の一部として取り扱われ、将来悪性化の可能性が高いものとされています。つまり、これら2つの疾患は、前癌病変または悪性と良性の境界病変と考えられていますが、実際にはきわめて微小な癌である可能性もあります。診断基準に大きさが含まれていますが、これらの病変に対する考え方や取り扱いは病理診断医や研究者により異なっており、臨床医としては、患者さんに単純に「組織診断が癌ではなかった」と説明する訳にはいかない点が悩むところです。
異型乳管過形成(ADH)・異型小葉過形成(ALH)の検査と診断
一般に、良性であれ、悪性であれ、病変部組織をcore-needle biopsy(CNB:太針生検)や吸引組織生検(マンモトーム生検、バコラ生検)により部分的に採取して、病理診断されます。しかし、これらの方法によりADHやALHと診断されたケースで、改めて切除生検を行なうと、4-10%が非浸潤癌または浸潤癌と診断されたと報告されています。したがって、これらの検査法は組織の一部を採取する検査のため診断には限界があり、確定診断のためには腫瘍の切除生検が必要です。
異型乳管過形成(ADH)・異型小葉過形成(ALH)の将来リスクと経過観察
また、異型過形成と診断された女性の約10-30%が、10-25年の間に浸潤性乳管癌を発症するとの報告もあり、厳重な経過観察が必要です。このため、異型過形成を微小癌として扱っている専門医もいます。
